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第13話
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
―――その後、父さんやカサネ――シャオリンが待っている部屋に戻ると、案の定――父さんはカサネにくってかかっていた。叔父さんはトイレに行ってしまったため――仕方なく僕一人が先に戻った。因みに、トイレといっても田舎であるここら周辺の家のトイレは未だに古いボットン便所だ。
そういえば――父さんは昔からオカルトや怖い話が大嫌いだった。僕は普段から霊を見てたから慣れきっていたし、大抵の恐怖テレビは興味本位による仕込みが多いと分かっていたから大して怖いなんて感じた事はなかったけれど――父さんは違ったらしい。
うっかり、テレビのチャンネルを恐怖番組にしただけで――「テレビを消せ」と僕に命令してくるくらい大嫌いだったのだ。
だから、先ほどの日和叔父さんの話をスンナリと受け入れ、叔父さん達を同居させてもいいと許してくれるかどうか――僕は本当に心配だった。百歩譲って、叔父さんは実の弟だから同居を許したとしても――カサネやシャオリンの存在を受け入れて許可してくれるかどうか――気が気じゃなかったのだ。
―――しかし、父さんは案外スンナリと叔父さん達が同居するのを許してくれたのだ。その事に対して心底意外だと思ってしまった僕は無意識の内に目を丸くしながらカサネにくってかかっている父さんを見つめた。
「…………何だ?」
「いや……その……この家に、また叔父さん達を同居させてもいいって言ってくれるなんて――思いもしなかった……本当にいいの?」
「こ、こういう経緯なら仕方がないだろう――別に、私が望んでる訳ではないからな……誤解するんじゃないぞ……」
僕が父さんをジッと見つめていると、ふいに怪訝そうに尋ねてきたため――少し遠慮がちに聞いてみる。すると、父さんは今までカサネの方に向けていた目線を僕の方へと真っ直ぐに向けて――素っ気なく答える。
「…………おい―――親子の会話をぶったぎって悪いが――これからの怪異なるモノ対策の説明をしてもいいか?」
「お、叔父さん…………び、びっくりした―――もう、トイレは済んだの?」
僕が久々に父さんの顔を直視しつつ会話をしたいると、ふいにトイレに行ってた筈の叔父さんが思ったよりも早く戻ってきて――僕と父さんの目の前に、ずいっと顔を覗かせながら言ってきたのだ。
「あんな陰気な臭いが漂う場所に長居なんてしたくないからな。それよりも、今後の事だ――とりあえず、日向がこの家の中にいる時は、余程の事が無い限り大丈夫だろう。万が一、何か起こっても――俺がいるからな。だが、問題は――日向が一人で学校にいる間だ。こればかりは……俺が学校に行く訳にいかない……だが、考えがある」
「――か、考えって……何?」
「――いずれ、分かる……」
その叔父さんの言葉を聞いて、一抹の不安を感じるものの――叔父さんを信じて僕は無言で頷いた。
その時、カサネとシャオリンが―――
【おい、それより……人界の風呂ってどんなやつなんだ?俺―――ずっと入ってみたかったんだよな~】
【シ、シャオリンも――その……気になるです……というか、旦那さまと一緒に入りたいです】
と、目を輝かせながら唐突に言ってきたため――父さんが軽いため息をついてから、すくっと立ち上がると、そのまま部屋を出て行って風呂場の方へと無言で歩いていく。
おそらく、カサネとシャオリンの要望を拒否すると余計に面倒な事になると父さんは悟ったんだと思う。
そして、僕らは―――そのまま、風呂が沸き上がるまで部屋にてジッと待つ事にしたのだった。
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