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第15話

「……ま……わり」 「えっ……叔父さん―――今、何て言ったの?それより笑子ちゃんの顔が映ってる鏡から……早く離れた方がいいよ……僕、前にこの子の顔を長い間、直接見たせいで精神がおかしくなっちゃって―――入院しちゃったんだ」 「…………何!?」 何故か、日和叔父さんは驚愕の表情を浮かべながら此方を見てきた。そんなに、僕はおかしな事を言ってしまったのだろうか、と――不安に思って黙り込んでしまう。 「日向――この鏡に映っているのは……確かに怪異なるモノだ。それは間違いない。だが、お前は二つの間違いをしている」 「……ふ、二つの間違い?」 「そうだ……一つ目は、お前が入院したのは――この鏡に映っているモノを直視したせいだけではなく、他にも原因がある……ただ、今はその原因が何かは定かじゃない。そして、二つ目は――その鏡に映っているのは……笑子などという名前じゃない。きちんとした名前がある……」 「……じ、じゃあ―――この怪異なるモノの正体は――何なの?それも、叔父さんが書いた小説から沸いて出てきたモノなの?」 僕の頭の中を―――様々な疑問が支配する。僕が精神がおかしくなりかけて入院したのは――他にも原因がある、といきなり言われた所でスンナリと受け入れられるような度胸がない。しかも、その原因が不明だから尚更不安だ。 「――いや、この怪異に関しては……俺の作品から沸いて出たモノじゃない。いいか、日向――落ち着いて聞けよ……この怪異なるモノの正体……それは、お前が生まれる何年も前に何者かに殺された――お前の叔母さんとなるべき筈だった日和兄さんと俺の妹――本当の名前は、向日葵だ」 「―――は?」 日和叔父さんの思わぬ言葉を聞いて、開いた口が塞がらない僕なのだった。因みに、カサネとシャオリンは――鏡に映っている笑子(向日葵?)の事などお構い無しに――既に湯船に入りながら、楽しげに二人で騒いで初体験らしい人界の風呂の世界に浸っているようだった。

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