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第17話

(何があった……あの時は――確か、学校で××君にからかわれて……泣きながら家に帰ってきて……それで、えっと……確か――確か……何かの音楽が聞こえてきて―――それで僕は……どこかに……) と、僕が当時の――笑子ちゃんに初めて出会った時の事を思い出そうと、目をぎゅうっと瞑りながら額に手を当てつつ悶々と考え込んでいた時―――、 【だから――こうだって、こう――人界での拍手はこうやるんだって……そう、あの忌々しい俺のヤドリギは言ってたぜ?】 【え~……で、でも――シャオも――旦那さまから人界での拍手はこうやるって聞きましたよ……カサネさん、勘違いしてるんじゃないですか~?】 先ほどまで、お風呂のお湯を互いにかけ合って楽しげにしていたカサネとシャオリンが熱心に会話をしている事に気付いた僕は――ハッとして笑子ちゃん――いや、向日葵叔母さんが映っている鏡にチラリと目線をやって、ある事を確かめた。 「ち、違う……違うよ……僕が最初に会った頃の笑子ちゃんは――こんな不気味な顔はしていなかった――穴も開いてなかった――そうだ、あの曲を祖父の部屋にある蓄音機から聞いた時に――急に顔が変わって……それで……」 「なるほど……それでお前は精神がおかしくなりかけて――入院したんだな?その歌の題名は何か、分かるか?」 あれは、あの曲は確か―――、 「幸せなら手を叩こう」 「よし、よく思い出せたな……流石は俺の日向だ。さて、そうと決まれば――このフカイ世界から抜け出そう――せっかく元に戻ってしまった彼らもヒントを出してくれたんだ――これから、どうすればいいのか分かるだろう?元の世界に戻って、鏡の中に閉じ込められた向日葵――いや、笑子を救うんだ」 【幸せなら手を叩こう】 【カサネとシャオリンがしていた会話の内容】 【フカイ世界】 このキーワードを元に、僕は――必死で、これから何をするべきか考える。 すると、悶々と考えて――悩んでいた僕の目にある光景が飛び込んできた。それらを、見た瞬間――まるでパズルのピースがはまるように、ある閃きが浮かんでくるのだった。

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