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第18話
今さっきまで、あんなに愉快げにお湯をかけ合ったり――人界の拍手の仕方について話していた彼らの会話がプツリ、と途絶える。
――シャオリンがいた筈の場所には裸の日本人形がプカプカと湯船に浮かびながら漂っている。しかも、本来のシャオリンよりも数倍は小さくなっていた。
――カサネがいた筈の場所にはそもそも何も存在していない。若干、蜃気楼のようにその場がゆらゆら、と揺らめいて靄がかかっているような状態にはなっているが――日和叔父さんソックリの重魂者カサネは少なくとも僕の目には映っていない。
(これは―――これは、もしかして……)
カサネやシャオリンの異常に気付いた僕は――ふと、心の中に一つの考えが浮かぶ。そして、その考えが当たっているのか確かめる為に――僕は目の前にいる日和叔父さんの姿をジッと見据えて―――こう、尋ねてみる。
「―――日和叔父さん、僕に……キスして?」
僕の考えが当たっているならば―――日和叔父さんは願い通りにキスをしてくれる筈だ。叔父さんの行動をドキドキしながら待っていると、彼は身を屈めて僕の顔へと己の顔を近付け、
そのまま―――触れるだけの優しいキスをしてくれるのだった。
その舞い上がって踊ってしまいそうな程の幸福な余韻に浸る暇もなく――僕は己の右手の手のひらに目線をやると、ある言葉を三回唱える。
『夢なら醒めろ――夢なら醒めろ――夢なら醒めろ!!』
そして、ぎゅうっと固く目を閉じるのだった。
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