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第20話

思い出した―――。 僕は初めて鏡の中の笑子ちゃんに会った時、可愛らしい笑顔で此方へと微笑む彼女を見て、何故かとても安堵し幸せな気分になったため――学校で習ったばかりの【幸せなら手を叩こう】を何となく口ずさみながら――思わず、パチ……パチ……と二回拍手したのだった。 (そうだ―――そしたら、鏡の中の笑子ちゃんの顔全体に穴が開いて、それで……どうなったんだっけ……そこまで詳しいことは思い出せないけど……とにかく、そのせいで入院したんだった……じゃあ、この夢の中の鏡の前で――同じようにすれば笑子ちゃんを助けられるかも――) ――パチ、パチ…… 僕は右手の手のひらをジッと見つめた後、不安に感じつつ決意をして鏡の前に向き合うと――そのまま、普通のやり方で拍手をする。 『夢なら醒めろ――夢なら醒めろ――夢なら醒めろ!!』 そして、先ほどと同じように心の中で唱えてから――目をぎゅうっと固く瞑り、おそるおそる目を開けるのだった。

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