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第24話

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ 「――日向、顔色が悪いが……昨夜、何かあったのか?」 「え、な……何でもないよ……父さんこそ、何か疲れてるみたいだけど――昨夜、何かあったの?」 ―――次の日の朝、僕と父さんは久々に居間の机に向かい合って二人きりで朝御飯を食べていた。僕が起きた時には、既に朝御飯が出来てきたのだ。ホカホカに湯気をたてるご飯に、ワカメとじゃがいもの味噌汁――それに、少し焦げついている目玉焼き……僕の苦手な納豆など、ごく普通の日本らしい朝御飯だが――久々に二人で向かい合って食べる物なだけあって、とても美味しい。 「あれ、日和叔父さんと……カサネ達は?」 「日和は、まだ起きてこない……まったく、だらしない奴だ。それと、アイツらは――知らないな。大方、日和の隣で情けない顔を晒しながら、ぐっすり眠ってるんだろう」 ―――あの金縛りが起き、自分の顔をしていた得たいの知れない黒いモノに体をまさぐられ、口にするのも憚れるような事をされた僕はハッと背中にまで汗をぐっしょりかきながら飛び起きたのだが、一緒に眠っていた筈の日和叔父さんやカサネ達がいない事に気付いてホッとしたようなガックリしたような複雑な感情を抱きつつも――少しして、再び眠ってしまったのだ。 「よし、それじゃあ……学校に行ってくるよ――父さん」 「―――ああ。おい、日向……これを受け取れ!!」 僕が急いでランドセルを担ごうとしていた時――ふいに、父さんが何かを僕に向かって投げてきた。 それは、黄緑色の御守りだった―――。 「……日和が、お前に渡しておいてくれと――昨夜、言っていた。なくすんじゃないぞ?」 「う、うん……ありがとう、父さん。行ってきます!!」 そんなやり取りを交わした後、僕は――家から出て学校へと向かい、田舎特有のコンクリートで塗装されていない土の香りがする道を歩いて行くのだった。

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