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第31話

カサネは一体、どこで用意したのか――渋めの灰色のスーツに身を包み、外国人の男性がつけると似合いそうなお洒落な眼鏡をかけていた。 すると、カサネが満足そうに満面の笑みを浮かべながら此方を見つめてきたため、思わず隣に座っている夢月の方へと顔を背けてしまった。 「―――ね、ねえ……夢月、あの先生って……えっと……新しい先生……だったっけ?」 「も~……日向くんたら、まだ寝ぼけてるの?あの先生は――前からいる担任の木之本先生じゃん。もしかして、具合でも悪いの?」 「ん……ううん、大丈夫……ただ寝ぼけてるだけ…………っ……」 ―――何故、カサネとシャオリンが以前からクラスメイトや教師として存在しているという認識を他のクラスメイトが持っているのか? ―――その事に対して他のクラスメイト(夢月も含む)達は違和感を抱いていないのか? 等々、夢月に僕が抱いている疑問について色々と話したいと思ったが――これ以上は僕が彼から頭のおかしい奴だと思われかねないので止めておこう、と口を閉じかけた時―――、 ―――ガラッ!! またしても、急に扉が開くと――今度こそ、僕の見覚えのない男の人が入ってきた。そして、先ほど教室に入ってきて、どんな方法を使ったかは分からないが巧妙にクラスに馴染んだカサネやシャオリンに対しての反応とは違い、周りのクラスメイト達でさえ――その男の人に対しては興味深そうに小声でヒソヒソ話をしたり、ざわめきをあげている。 「―――初めまして、皆さん。××小学校から転任し、今日からこのクラスの副担任となる…照井です。よろしくね」 「…………っ!!?」 ―――ガタンッ!!! 巧妙に担任教師としてクラスに入ってきたカサネの後に教室に入ってきた副担任を名乗る男の人の言葉を聞いて、僕は余りの驚きと恐怖からサーッと血の気が引いてしまい、下手したら椅子から転がり落ちてしまいそうになる程の勢いで――またしても、机から勢いよく立ち上がってしまうのだった。

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