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第43話 ※血表現ありのため注意

その生臭さがなければ、単なる雨漏りだ――と思っただろう。この家の風呂場の天井は古臭い作りになっていて、未だに木造のため――カビが長い間生えていれば、雨漏りが起こってもおかしくはない。 外では―――まだ雨が降り続いている。 止まない雨はない、という言葉があるけれど――それならば、僕達を狙ってくる【怪異なるモノ】による怪事件も――いつかは止むのだろうか。 ――ポタッ と、そんな事を思いながらおそるおそる立ち尽くしていた僕の頬に冷たい雫が落ちてきて――思わず手で拭ってしまった。 手の甲に―――真っ赤な血がついた。 ――ポタ、 ――ポタッ……ボタッ それを合図だといわんばかりに――天井から一気に血の雨が降り注ぎ、まだ湯気をたてている湯船の中が――赤く、赤く染まるのだ。 「て、てる……てる坊主……?」 何故、その時の僕は早く――風呂場から出ようと思わなかったのだろうか―――。 体が石にされてしまったかのように動かないのもあるが、その時は――天井のあるモノに目が釘付けになってしまっていたのだ。 《てるてる坊主のような形の天井に浮かんできた血のシミ》 どうしてか、僕はその血のシミを【美しい】と思い込んで――見入ってしまっていた。 ―――ガラッ!! しかし、その時―――日和叔父さんが落ち着いた足取りで風呂場の中に入ってきてから僕の腕をグイッと引っ張る。そして、そのまま叔父さんは己の胸の中へと引き寄せ、僕は呆然としながらも日和叔父さんの大きな胸元の中へと抱き寄せられるのだった。

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