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第107話

※ ※ ※ ※ 「…………んっ……」 「――やあ、起きたかい!?私の呪場は___どうだったかな……日向くん?」 再び、目を覚ました時―――ライトの光によるあまりの眩しさのせいで、思わず目を細めてしまう。しかし、段々と目が慣れてくると――困惑しきり無意識のうちに大粒の涙を溢して頬を濡らしてしまっていた僕の顔を――にた、にたと【若女】の面のように笑みを浮かべてくる薫さんの姿が飛び込んできた。 それに、気絶してしまう前に嗅いだ甘くて強烈な白い【胡蝶蘭】の花の薫りも部屋一面に漂う。しかも、それだけじゃなく――僕が気絶してしまう前には漂っていなかった筈の――【鉄臭い薫り】も辺りに強烈に漂い、その薫りの正体に気づいたせいで真っ青になっている僕の鼻を刺激してくるのだ。 この薫りは___血だ、誰かの血の薫りだ。 困惑しきり、ぐちゃぐちゃになっている頭の中で真っ先に思い浮かべたのは――気絶してしまう前に見た行方不明中の少年達が思い浮かび慌てて彼らが無事かどうかを確かめるために辺りを見渡してみる。 しかし―――、 ___彼らはいない。 「―――か、彼らは……貴方が浚ったせいで行方不明中になっていた彼らは何処に……行ったんですか……っ……!?」 「―――いいとも。私の呪場から戻って来れた君に……答えてあげよう。だが、私からも――君に幾つか聞きたい事がある。聞いても――いいかな?」 「は、はい…………」 【若女】の面のように無機質な笑みを崩す事なく、淡々とした素振りで聞いてくる薫さんを目の当たりにして、一瞬戸惑いの表情を浮かべる僕だったが―――行方不明となっているままの哀れな少年達を救うためにも渋々ながらも、こくりと小さく頷いた僕なのだった。

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