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第109話
「その怯えきった瞳も、かつての蛍に……そっくりだ。やはり、【君を母体とし――無苦なる子らと共に融合させて新たなる弟の蛍を生み出せ】という【御母堂様】のお導きは――正しい。私には――蛍がいないと駄目なのだ。このままでは――私は蛹という惨めな存在のまま一生を終える醜い幼虫のままだ―――早く、早く――君を【無苦なる子ら】と共に融合させ……新たなる新たな蛍を生み出し一つにならなくては。ああ、この象牙のように白い裸体も……かつての蛍の生き写しではないか……】
「……っ……ひっ…………!?」
びりっ……
びり、びりっ…………
既に正気など微塵も感じられない様子の薫さんが恐怖と不安で怯えきり――びく、びくと体全体を震わせている僕の上へ乗し掛かったまま乱暴な手つきで身に付けている衣服を破いてくる。そのせいで、僕は――ほとんど生まれたてといっては過言じゃない程の真っ裸となってしまった。
愛する叔父さん以外の人からそういう風に触れられるのが嫌で、嫌で――堪らないのに急に外気に晒されたせいで僕の桃色の乳首は途端にピンッと尖り、それに目をつけた正気を失っている状態の薫さんの親指と人差し指で散々擦られたり、摘ままれたり、押し潰されたりと好き勝手に弄ばれてしまうのだ。
「……ひっ……あんっ………あっ……らめっ……やっ……やらっ……やっ……やんっ……」
「―――これしきの事で、ここまで厭らしい声が出せるとは……流石は私の蛍だ――【御母堂様】も満足していらっしゃる……さあ、まだまだ快楽という名の【幸福】を与えてあげよう
……っ……【御母堂様】__お願い致します」
「……っ…………ひ、ひぃっ…………!?」
僕の桃色の乳首や快楽と冷たい外気に晒されているせいでびく、びくと震えているままの全身を触られつつも、ふっ……と目線を上の方へと移した薫さんに気付いた僕は釣られるようにして恐る恐る上の方へと見上げてみた。
すると、僕に乗しかかっている薫さんの影が伸びているのだが__その形状が異常なのだ。
黒い大蜘蛛だーーー。
【爺や】よりも遥かに大きな黒い蜘蛛の形をしている薫さんの【影】がーー僕に乗しかかり、厭らしい悪戯をしてくる薫さんの体全体を黒い糸で操りーーもご、もごと蠢いている異常としかいえない光景が僕の目に飛び込んできたのだ。
もしかして、既に正気を失ってしまっている薫さんが先程から何度も言っている【御母堂様】とは__この大きな影の蜘蛛の事なのだろうか――とボンヤリと思いながら恐怖に支配されてた僕は薫さんが再び硝子玉のように無機質な瞳で此方を見つめてくる事に気付くとビクッと体を大きく震わせてしまうのだった。
びちゃっ…………!!
「……ひゃっ……つ、つめたっ……なに、これぇ……っ……」
「【御母堂様】からの―――愛の印さ。君はこれから――その魂だけでなく、肉体さえも――【蛍】となるんだ……さあ、続きの儀式を始めようじゃないか……っ……】
急に薫さんの背後に存在している【御母堂様】とやらの蜘蛛形の影から顔に目掛けて吹き付けられてかかってきた白濁液の冷たさと気持ち悪さに身を震わせてしまっていた僕だったのだが、いつの間にかズボンを脱いで己の猛りきった赤黒い肉棒を棒の半勃ちしてびくびくと震えている肉棒にぴったりとくっつけて腰を律動させている薫さんから強引に与えられてしまう快楽という【幸福】から逃れられず、僕は浅ましくも卑猥な喘ぎ声をひっきりなしに漏らしてしまうのだった。
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