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第129話

※ ※ ※ ※ ピピッ……ピピピッ………… 無機質な目覚ましの音が鳴り響き―――僕は夢の世界から現実の世界へと強制的に引き戻される。なんだか、とても嫌な夢を見ていたような気がする。 ああ、そうだ_____。 昨日、香住くんの部屋で見た禍々しい不気味な仮面を被ってナニカに向かって大勢の男の人達(黒い肌をしてて真っ赤な腰布みたいなの纏ってたのは覚えてる)が地面に這いつくばってお辞儀している夢だ―――。 そして、その大勢の人達の内の一人―――確か肌を埋め尽くす程に刺青をしていて他の人達とは比べものにならないくらいに逞しい体つきをしていた強そうな男の人(お辞儀をしている群衆からザギマと呼ばれていた)が《ロギンの歯》と呼ばれていたナイフの切っ先を怯えた表情を浮かべている誰か(黒い肌の少年のように見えた)の顔へ___突き刺した……所で目が覚めた。 そんな悪夢だったにも関わらず___僕は夢精してしまっていた。 窓の外では____今日もザア、ザアと音を立てながら雨粒が地面や屋根をたたきつけている。 ※ ※ ※ ※ 「おい、日向―――お前……やっぱり今日は学校を休んだ方がいいんじゃないのか?」 「大丈夫だよ……叔父さん。ごちそうさま……それじゃあ、いってきます」 ガタッ………… と、ご飯と鮭―――それにわかめと豆腐の味噌汁といった極一般的な朝ごはんを食べ終わり、叔父さんとの二人きりの朝食タイムを終えた僕は椅子から立ち上がると、そのままランドセルを担いで急いで玄関へと向かおうとした。 だけど―――、 グイッ……と叔父さんから腕を掴まれてしまった僕は反射的に何処となく怖い顔をしている叔父さんと目が合ってしまう。 その時___異変に気付いた。 今までは無かった筈の叔父さんの右頬の辺りに___小さな黒子がある事に気付いたのだった。

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