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第130話

「叔父さんが何を心配してるか分からないけど……僕は大丈夫だし、別に心配してくれなくてもいいよ___それより、叔父さんは父さんの事を気にしてた方が良いんじゃないかな?それじゃ、いってきます!!」 「…………」 僕は、叔父さんの腕を振り切るようにして、急いで玄関まで走っていった。こんな平日の朝っぱらから―――叔父さんにかまってなんかいられない。急いで靴を履く。背後から強い視線(おそらく叔父さんのだ)を感じるが、僕は振り返る事なく慌てて家を出て行くのだった。 (それに、どうせ―――叔父さんは僕の事よりも―――大好きな父さんの方が大事なんだ……っ……ああ、早く……早く……放課後になって香住くんが暮らす館に行きたい……っ……でも……本を返しちゃったら……今度行く理由がなくなっちゃう……どうしよう……) と、そんな事を悶々と思い悩みながら―――僕は普段通り、親友の夢月が待っているバス亭へと向かって行く。 相変わらず雨粒が塗装などされていない田舎特有の地面を叩きつけ、歩く度にぐじゅ、ぐじゅっという何ともいえない音をたてる。 ※ ※ ※ 学校に着いた後も、雨はザアザアと降り続け―――三時限目の授業が始まる前の、僅か十分しかない休み時間に僕はボケーッと窓の外を見つめていた。 ガラッ…………!! (あっ……カサネだーーーでも、おかしいな……次は教師に擬態してるカサネの授業じゃなくて―――鬼村の授業の筈なのに……っ……) 勢いよく教室の扉が開いたせいで、僕の視線は窓の方から入り口の方へと移動するのだった。

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