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第131話
「…………」
いつも、ヘラヘラしていて神妙さとは無縁ともいっていいようなカサネは何処となく気まずそうに各々の椅子に座っているクラスメート(もちろん僕も入る)を見渡した。
「あの…………鬼村先生は来ないんですか?次の授業は鬼村先生の科目ですよね!?」
女の子のグループのリーダー的存在の、奥野瞳ちゃんが教室内にいつもに増して響き渡る程にハキハキとした声でカサネへと尋ねる。
すると、ついに―――いつもとは別人のように神妙そうな様子を醸し出しているカサネの口がゆっくりと開く。
【鬼村先生は―――もう二度とお前達の前に姿を現す事はない。昨夜、池で浮かんで息耐えた鬼村先生を警察が見つけたそうだ】
―――あの《腐望来の池》に浮かんでたのは鬼村だったのか。
と、僕の脳がカサネの振り絞るかのように弱々しい言葉を聞いた事で自覚した途端にビクンッと体が飛び跳ねてしまう程に強烈で耐え難い【痒みを伴う快感】に捕らわれてしまう。
ざわ、ざわ____と教室内の子達がカサネの振り絞るかのように弱々しい《鬼村が池に浮かびながら絶命していた》という言葉に対してざわめきたっていたが―――正直、僕としてはこの身を焦がしてしまいそうな程に強烈な【痒みを伴う快感】をいかに凌ぐかの方が重要だった。
ガタンッ…………!!
このままじゃ、マズイ―――皆の前でみっともない姿を晒してしまうと悟った僕は勢いよく椅子から立ち上がり___、
「あ、あの…………保健室に行ってもーー良いですか?」
と、体中に走る痒みと快感を何とか我慢しながらカサネに対して尋ねるのだった。
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