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第133話

くちゅ……ぬちゅっ………… 「……んっ……はあっ…………あっ……んっ…………」 トイレの個室内に水音が響く―――。 いや、それだけじゃなくて___僕が必死で喘ぎ声を抑えても自然と出て来てしまう卑猥な息遣いも響いている。 口にするのも憚られるような行為に集中するために、目を閉じている僕の脳裏に浮かぶのは叔父さんの事でもカサネの事でも小見山くんや夢月の事でもなく、香住くんの事ばかり―――。 だから、少し油断してしまっていたんだ―――。 「あっ…………香住くんっ……香住くん……いい、いいよ……香住くん……っ…………」 つい、香住くんの名を呟きながら―――先程よりも少しだけ大きめの声をあげてビクン、ビクンと震えつつ先端から白濁液を溢れさせているモノをしごく手のスピードを早めてしまう。 すると―――、 ドンッ…… ドンッ……ドンッ………… まるで、今すぐに開けろといわんばかりに大きな音で個室の扉が勢いよく叩かれる。僕が恐れていた事が起こってしまったせいでビクッと体を震わせてしまう。 (ど、どうしよう……どうしよう……っ…………さっきの僕の声を……聞かれてたかもしれないっ……いや、もしかしたら……ずっと前から……っ……聞かれてたかも……) 慌ててズボンを乱雑に上げると、身を縮こまらせながら外の人物がいなくなる事を期待して少し待ってみたけれど、その人はなかなか諦めようとはしない。その執拗さから、ただ単にトイレに入りたい訳じゃなくて___僕に用事がある事が分かった僕は根負けしてしまい―――ため息をついてから、ゆっくりとした手付きで扉を開けるのだった。

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