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第136話

部屋中に響き渡る【神に捧げる血へと】という、おどろおどろしくも優雅な調べを奏でているクラシック音楽はサビ部分に突入しクライマックスとなる。 【×××Ψ(神よ)___×××Ψ(神よ)】 【$$ξλΘн……《ロギン》δ《ザキマ》ё……§&δЖχε !!(捧げたもう……《生け贄》の《血》を……納めたまえ!!) 先程から、曲に合わせて何か言葉が聞こえてくるような気がするのは―――香住くんから押し倒されて血を吸われ続けて痒みを伴う快感という感情に支配されている僕の気のせいなのだうか? と、そこで―――急に夢見心地な僕は気付く。 つい先程から音楽に合わせて謎の暗号めいた不気味な言葉を発しているのは__余りの快感から、だらしなく半開きとなっている僕の口からだ。つまり、どこからかこの謎の言葉が聞こえてくるのではなく愛撫にも似た香住くんの艶かしい行為を躊躇なく受け入れて身を委ねている僕の口から___まるで、【神に捧げる血へと】というクラシックのおどろおどろしくも優雅な曲調に合わせつつ歌うかのように自然と発しているのだった。 「日向くん___【×××】のお告げを―――やっと聞けるようになったんだね。じゃあ、僕もЖγΥ&Ψ語で語ろうか。何せ、僕な日向くん、それと脱け殻となった哀れな鬼村先生、乱暴な小見山くん―――あと今はいないけれど夢月くんは―――【前世】から連なる血魂者同士だからね」 「えっ…………僕、今___何か言っていたの?」 ボーッとした様子で、尚も僕の体を逃そうとはせずに見た目から想像もつかない程に途徹もない強い力で香住くんに抑えつけられながら僕はポツリと呟きつつ尋ねる。しかし、香住くんはニッコリと頬笑んだままで僕の問いには答えてはくれないのだった。

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