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第190話
※ ※ ※
(おかしいなぁ……この世界での小見山くんがいない―――それに、日向くんまで……この雑木林に巣食ってるカレらに……飲みこまれちゃったか……やってくれるね……カレらも―――)
口には出さないものの―――夢月は非常に不愉快な想いを抱きつつ、ろくに日の光が差さない雑木林で【友人達】を探していた。
緑色の雑草がぼう、ぼうと生い茂る中―――ポツリ、と寂しげに存在する古井戸はナメクジ達の住処となっているのであろう。その古井戸を取り囲むようにして、うじゃうじゃとナメクジの群れが蠢いている。
ぬちゃ、ぐちゃり――――
ニコニコと満面の笑みを浮かべている夢月がビーチサンダルで古井戸に近づいていく度にナメクジ達を踏みつける音が辺りに響く。普通であれば気持ち悪い、と眉を潜めそうではあるが―――今の夢月は、とっておきの暇潰しを見つけた子供のように無邪気な笑みを浮かべている。
「さて、と―――そろそろこの世界での茶番劇にも飽きてきたし、ナメクジみたいに陰気な君らの呪場へとお邪魔しちゃうよ?ここの呪場主は日向くんのことを大層気にいってるみたいだしねぇ……まあ、理由はそれだけではないけどさ……っ……小鈴くんも―――もちろん協力してくれるよね?」
「は……はい……」
「よし、よし―――この世界でも、キミはいいこだね」
ポン、ポンと側にいる小鈴の頭を撫でてから夢月は【協力者達】と共に―――真っ暗で先が見えない程に深い深い古井戸へと飛び込むのだった。
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