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第210話
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辺り一面を煌々と照らす電光パネルは___暗闇に包まれている田んぼの風景には全く似合っていなくて、かなり異質といってもいいのだろう。墨汁色の闇夜の中にぽっかりと浮かぶ月みたいに電光パネルのモニターが黄色く光り輝いているから、なおのこと異質さを醸し出している。
けれど、急に___画面にノイズが走り、ぶつっと黄色く光り輝いていた画面が途切れて真っ暗になってしまう。その直前に、一瞬だけれど薄い黄色のツインテール(かなり長めに見えた)に金色と水色のオッドアイ___それに、両腕に綿菓子みたいにフワフワの羊の縫いぐるみを抱えつつ此方にそれを見せつけるような素振りをして口角を軽くあげて僕へ微笑みかける可愛らしい女の子の姿が見えた__ように思えた。
【NΑ……yaみが……あrru……なaaら……ヨーコ……nii、に……そ、so,u,Daん……し……し、te___】
声はない___。
村人の噂いわく、可愛らしいツインテールかつオッドアイの電脳アイドルとやらの女の子の姿も画面には写っていない。
暗い画面に、ただ___ただ、ひたす崩れた文字列が繰り返し何度も並ぶだけ。
食い入るようにボーッと画面を見ていた僕だったけれど、ふいに誰かに後ろから肩をぽん、と叩かれて慌てて振り返るのだった。
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