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第243話

* 「成る程ね、いったん話を整理しとくと……日向にいが中々帰って来ないにも関わらず、あんたは悠長に家にいてのんびりしてた訳だ。まあ、そんなことはどうでもいいや。とにかく、二人は日向にいが何処に行ったか検討もつかないわけ?」 あの後、とにかくこのままじゃ埒があかないと判断したカサネは取り敢えず光太郎を居間へと連れてきた。 背後で小鈴が自分を楯にするかのように隠れているのは、穏やかな日向と違って正反対な性格の光太郎のことが苦手なのだろうと思ったカサネは少なからず鬱陶しさを抱きつつも渋々ながら受け入れた。 「知らねえよ……そんなもん。大方、ムツキのとこにでも行ってんじゃねえのか?取り敢えず、ヒナタが行きそうなところっていったら……そこくらいしか____」 と、カサネが相変わらず生意気な口調のまま好き勝手言ってくる光太郎に対して不貞腐れたような態度をとりながら答えている最中のこと。 ふと、背後に隠れて今までは黙ったままでいた小鈴がカサネの服の裾を引っ張りながら何かを言いたげにチラリと見上げてきた。 その大きな硝子玉みたいな目には、涙が浮かんでいたため驚いたカサネは思わず口をつぐんでしまう。 「どっ……どうしたんだよ……お前……っ____!!?」 「ちょっと……あ~っと……小鈴――だったっけ?なめくじみたいに暗い顔してウジウジしてないで、言いたいことがあるんならハッキリ言ってよ……さっきからずっと何かを言いたげにこっち見てるばっかり!!きみの証言で日向にいたちが救えるかもしれないんだから、どんな情報もハッキリ教えてよね!!」 あまりにもキツいその言い方に、どうしてかカサネは凄くイラッとしてしまったのだけれど、すぐに光太郎の言うことも確かに分かると思い直した。 そして、とにかく泣きじゃくる小鈴を落ち着かせることに尽力した。 少ししてから落ち着きを取り戻した小鈴。 「夢月さんも……いないんです。日向さんだけじゃなくて――。今日、一緒にお買い物に付き合ってくれるって言ってたのに……しばらく待っても来なかったんです。夢月さんのおうちまで行ったのに誰もいなかった。それで、仕方なく一人でお買い物に行ったですよ……そういえば、その帰り道に、あの……電光掲示板の付近で……夢月さんの匂いが微かにしてたです――だから悲しかったけど、きっと用事ができたんだろうって思ってここに帰ってきたんです」 「ねえ……ちょっと待って!?その電光掲示板って――何?いつの間に、そんな田舎に場違いなのが出来たわけ?」 「はあ?だから、元は怪異なるモノだったオレにそんなん分かる訳ねえっつってんだろ……ヒヨリに聞いてみろよ――あいつはオレの主でニンゲンだからな。それか、お前の父さんのヒカゲに聞けばいいだろ」 ややムキになりながら、カサネは生意気な光太郎へ反論した。 すると、僅かに戸惑いを浮かべた一瞬の後に光太郎はカサネを睨み付ける。 「あんた……考えなしなのもいい加減にしなよ?父さんは日頃から仕事ばっかで疲れきってるのに、そんなこと出来るわけないでしょ……ただでさえ、父さんはボクのことで――疲れきってるっていうのに。でも、もうひとつの方は賛成だね」 光太郎はガタンッという音がするくらいに勢いよく椅子から立ち上がる。 「叔父さんは……何処――というか、何で日向にいたちが行方不明なのに……ここにいないわけ?」 *

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