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第3話

『別れたい』 言われたら……どうしよう…… 考えるだけで泣けてくる 優雅 お前と離れるなんて無理だよ ……………一緒にいたい 俺、もっと頑張るから ………………まだ言わないで 駅前を歩いてたら、映画のポスターが貼ってあった コレ、優雅の好きなシリーズだ もう公開始まってるのか いつもデートに誘ってくれるのは決まって優雅の方だった 『もっと甘えて欲しいな』 優雅の口癖を思い出す 俺は甘えるのも頼るのも素直になるのも下手だったから…… …………受け身ばかりもいけなかった 震える手でラインを打つ 〈久しぶりに映画観に行かない? □□□□、公開始まったみたいだよ。 今日は何時頃あがる?〉 すぐに既読はついた ー優雅ー 〈ごめん。しばらく忙しいんだ。 見といていいよ〉 〈分かった〉 一言だけ返す …………落ち込むのはやめよう 本当に忙しかったのかもしれないし…… 映画には行かず、家に帰ってきた カレンダーをめくる もうすぐ優雅の誕生日 その日まで一緒にいられる…………? 誕生日 優雅は相変わらず、余所余所しい でも誕生日くらいは………… 早めに仕事を切り上げた プレゼントにネクタイは準備したし、後は予約したケーキを受け取るだけ 電車を降りて駅前のケーキ屋に寄った ……言えないけど、優雅に抱かれるのが好き いつも大切にされて幸せを感じてた 俺は男だし、恥ずかしくて1回も俺から誘った事ない 今日は優雅の誕生日 勇気を……出してみようか………… 優雅のシャツを着て、風呂上がりに誘ってみる? 帰ってくる時間に合わせて…… 風呂から上がり、鏡の前に立つ いわゆる彼シャツ コレ、外すんじゃない? こんな阿呆な格好…… でも この格好なら、気付いてくれるかも…… 素直になったら……もう一度…… 俺との事を考えてくれるかもしれない…… その時、ドアが開いた 「ただいま」 「お、お帰り。優雅」 結局、彼シャツのまま、玄関で出迎える 「…………響。その格好……」 み……見られてる………… カァッ 羞恥で顔が熱くなる 「ごめん。用事があるんだ。行かないと……」 そう言って優雅はそのまま会社のカバンを置くと、出て行ってしまった チッチッチッ…… 時計の秒針が静かな部屋に響いた …………優雅、困った顔してた 涙が頬を伝う 引かれた…… こんな可愛くもない23の男が馬鹿みたいな格好して必死に誘ったりして…… 恥ずかしい 惨めで消えていなくなりたい しかも帰ってこない …………誕生日なのに? 誰と会ってるんだよ…… 何もしないまま、日付が変わる 最後に『おめでとう』位、言ってあげたかった……

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