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第9話
いくらなんでも純粋無垢な自分の孫を罵倒はしないだろうと思いきって紹介した
「ほら希一、挨拶しなさい」
「え、えっと……きいち、です」
無垢な笑顔で一所懸命挨拶する希一だが
義母は表情を変える事なく「そう……」とだけ応えすぐに希一から目を反らした
彼女の反応に希一の笑顔は消え不安な表情を朔に向ける
「あの………」
「奥様、旦那様は不在ですので今日は何卒お引き取り下さいませんか?
何か伝言がございましたらお伝えしておきますので」
すかさず棗が対応すると彼女は不機嫌ながらも
秀一がいないのなら帰ると言い玄関へスタスタと歩いていった
朔と棗も見送りに行こうとすると結構だと言われた
「おかあさん、おばあさま、おこったの
ぼくがちゃんとごあいさつ、できなかったから?」
すると希一が朔の袖を掴んで今にも泣きそうに見上げてきて
たまらなく抱きしめた
「ごめんね、違うんだ希一は何も悪くない
ごめんね………」
自分のせいで希一が傷付くのが悔しくて苦しくて守れない自分が情けなかった
帰ってきた秀一は朔を見るなり抱き締める
「悪い……お前と希一に嫌な思いをさせたようだ」
「秀……」
棗から報告を受けた秀一はその後母親に電話し
二度と家に来ないで欲しいと抗議した
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