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第10話
本当は九条家と縁を切りたいのだが
それは朔が引き留めた
「僕には両親がいないからそう思うのかもしれないけど
やっぱり家って大切な物だと思う
簡単に縁を切るなんてして欲しくない」
彼がそう言うから親の会社に入った
αの中でも優秀で人としても信頼される秀一は
入社間も無くともなくてはならない存在になっている
ここで辞めると困る人が大勢いるからと朔は言うので辞める訳にもいかない
だからこの環境で全力で護るつもりだ
朔のか細い体を抱き締め誓う
「愛してるよ朔」
「僕も」
そんな中にテトテトと可愛い足音が近づいてきて秀一は朔の体を離した
「おとうさん、このごほんよんでー」
希一が一冊の本を抱え秀一に強請ると
彼は希一を抱っこしていいよと言いその場から移動してソファーに座り希一を膝の上に乗せる
そして持っていた動物の本を広げる
「ねぇねぇ、うまさん、かっこいいね」
「そうだな、今度馬乗りに行くか?」
「ほんと?いきたい!!」
キラキラと目を輝かせる希一と彼に頭を撫でながら本を読んであげる秀一が何とも微笑ましく朔もそんな二人に笑顔になる
ずっとこんな幸せが続けばいいと願わずにはいられなかった
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