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第16話
「秀………」
夜寝室でまだ希一の進路に納得していない声色で朔が秀一を呼んだ
「気持ちは分かる
俺だってあの子を行かせるのは不安だ
だがな、このままでは駄目なんだ
親の庇護が無くとも生きていけるようにならなければ」
「………」
そうだ、彼の言う通りずっと親の庇護下に置くわけにはいかないから……
分かってる……
覚悟が出来ないのは自分だけなのだと
「そう、だよね……
うん、僕も変わらないと……」
こうして希一は聖雷高校に進路を決め
受験も見事合格しついに家を出ることとなった
「何かあったらすぐ連絡するんだよ?」
「うん、分かってる」
別れを惜しみながらもまたすぐ会えるからと希一は自分の手元から離れてしまった
希一のいないこの家はただでさえ広すぎるのに余計に広く感じ一週間以上経っても中々慣れる事ができない
「寂しいか?」
ふいに秀一が投げ掛けてきた問いに苦笑いを浮かべる
「寂しいよ、やっぱり……」
「俺が居る」
「え?」
「俺はずっとお前の傍にいる」
美しい彼の顔で真剣な表情で言われ思わずドキリとした
α特有の獲物を捕らえるような目
Ωを惹き付けて離さないその目に朔はまんまとハマってしまう感覚に襲われる
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