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「ざっけんな!!」 指が硬い手に掴まれる。 ギリッと強く握られたかと思えば、次には振り払われた。 「名前呼んで欲しけりゃな、ちゃんと説明しやがれ!」 体に力が入るようになったのだろう。 三園が上半身を起こしながら声を荒げた。 「言ったじゃない。『5日間僕にちょうだい』って。」 「…………」 繰り返される同じ台詞に三園は黙った。 黙ったまま、その先を促すように千田から視線を外さなかった。 「嫌がらせって言ったけど。好きな子に嫌がらせするほどガキじゃないよ、僕は」 「…鎖に繋いでか」 ジャラ…と左手首を見せつけると、千田はゆっくりと微笑んだ。 「だって三園逃げるでしょ?部屋に閉じ込めてるだけじゃ、5日間待たずに。」 「………」 「嫌がらせするほどガキじゃないけど、好きな子易々と逃がしてあげられるほど大人でもないよ。」 そう言って、千田はベッドに腰かけた。 警戒している三園の隣に… 「僕は君と過ごしたい、それだけ。大丈夫、5日たったらちゃんと外してあげるから。約束。」 「…嘘くせぇ。」 僅かに腰を上げ千田から距離を取ろうとすると、腕を捕まれた。 「名前」 「は?」 「説明したんだから名前呼んで?」 「…………」 首を傾げながらそんなことを言うのに、呆気にとられた。 なんだ、コイツ。 バカか?バカなのか? え、今の説明したことになる? けど、今コイツの名前呼ばないと、何されるか分かったもんじゃないし。 「………千田」 小さく名前を呼んでみる。 「…っ、」 まるで花が開くように嬉しそうに頬笑む千田に、一瞬目を奪われた。

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