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熱い湯が体の表面をなぞる。
トイレと風呂が一体のユニットバスは狭くて、シャワーカーテンがビシャビシャと濡れていくのをボーッと眺めた。
講義は大丈夫…何回かサボってはきたが、今週休むくらいは影響することはないはずだ。
問題はバイトのほうだな。
時給が良いからと始めた深夜の土方。
おっさん達と大声で下ネタ話すの面白かったのに…これが原因でクビになったらどうしてくれるのか。
『僕が養うよ』
それくらいのこと言いそうだけど。
湯を浴びたことで体と頭がハッキリと目覚めていく中で、三園は自分の考えに苦笑した。
カバンは財布も鍵もノートも入ったまま部屋に放置されていたが、スマホだけは隠されていた。
おかげでバイト先にも連れにも連絡の一つも入れることができない。
もしかしたら鎖の鍵と一緒に郵送されているのかもしれないと思うと、確認するのも億劫になる。
ヂャラ…
「…………」
水が伝っていく長い鎖。
カーテンの向こうへ伸びているその金属が、狭くとも癒し空間であるはずの浴室には不似合いで。
5日、、、というか、あと4日か?
残りの4日間を千田と過ごせばこのバカげた鎖から解放される。
何をどうやったら『拉致って繋ぐ』という突拍子もない行動に踏み切れたのか知らないが、とにかくこの鎖が鬱陶しい。
たかが4日、されど4日。
千田と二人きりということよりも鎖の存在そのものに、三園は大きくため息をついた。
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