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「三園、開けるよ。」 「……」 扉のノック音に続き掛けられた言葉にハッとした。 返事も聞かずに扉が開く音が聞こえる。 「タオルと下着。ここ置いとくから。」 手首の鎖が揺れる。 カーテンの向こうで同様に揺れる気配に知らずと息を飲んだ。 「あとこの辺のもん適当に使って。新しい歯ブラシもあるから。」 甲斐甲斐しいそのセリフに「どーも…」と呟けば、「ごゆっくり」と柔らかい声が返ってきた。 続いて扉が閉まる音に千田が出ていったことを知り、三園はシャワーを止めた。 濡れた髪を両手で掻き上げ水を切る。 新しい歯ブラシまで準備してるのかよ… 用意周到な千田に若干引きつつシャワーカーテンを開けた。 「…!?」 足を上げかけて思わず固まってしまう。 視線の先には、壁に凭れて腕を組んでいる千田が立っていたー。

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