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「…そこで何してんだ。」 男同士、裸を見られたくらい何てことはないが、まさか出ていかずに待っているとは思わなくて。 思わずカーテンを閉めようとした手をグッと抑えた。 女じゃねぇんだから… 平静を装いつつタオルに手を伸ばす。 濡れた頭にタオルを乗せガシガシと拭いていれば、千田がゆっくりと壁から身を起こすのが視界に入ってきた。 「僕に拭かせて。」 「はぁ?」 側まで近づくと大きな手がタオルを握っていた三園の手に重なる。 言われたことを理解する前に、奪われたバスタオルでまだ水が滴る髪を撫でられた。 「ちょ、てめ…うわっ!」 体を引こうとして濡れた浴槽の底で足が滑る。 壁に手を付いてバランスをとれば、クスクスと笑う声が浴室に響いた。 「ほら、じっとして。危ないよ?」 「ざけんな、何がしてぇんだよ!」 「何って、頭拭いてるだけだよ。」 「んな、、、」 さも普通のことのように返され言葉に詰まる。 その間も丁寧に頭を拭かれ、そのままタオルは体の方に下りてきた。 「っ、やめ…自分で拭くから返せ。」 するりと首筋をなぞった指先にゾワッとしたものが背筋を走る。 手首を掴み真っ直ぐに瞳を向けると、千田は素直にタオルを放した。 「…目尻、赤くなってる。」 「っ、」 「色っぽい…」 「色っ…!?」 愉しそうな声と僅かに熱を孕んだ視線。 目を大きくする三園から一歩下がると、「湯冷めしないようにね」と言葉を残して浴室から出ていく。 その後ろ姿を見送り、鎖が引っ張られる感覚に千田が今度こそ部屋に戻っていったことを感じる。 「……信じらんねぇ」 若干緊張していた体から力が抜ける。 何を考えているのか全く掴めない行動。 ただ分かるのは、さっきの千田は性的な目で三園を見ていたということだけで。 まだ始まったばかりの二日目の朝。 その事実に頭を抱えたい気分になったー。

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