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「…何時だ?今。」
「んー、8時ちょっと」
「んだと!?起こせよ、始まってんだろうが!」
「え、あ、うん。ごめん……って何が?」
慌てて飛び起きたかと思うと、三園はテレビのチャンネルボタンを押した。
一日ゴロゴロと過ごし、他愛ない会話を繰り返し、気付けば三園は眠っていた。
薬の影響はもう無いはずだから、純粋に三園はよく寝るタイプだと言うことなのだろう。
鎖を邪魔にしつつもベッドに転がり数分で眠ってしまった三園の側で、買っていたミステリー小説を広げること一時間。
起きると同時にテレビをつけるその姿にクスッと笑いが溢れた。
そうして何度かチャンネルを変えると、歌番組でピタリとその動きは止まった。
「間に合った~。まだこれからじゃんか。」
すっかり自分の定位置にしてしまったベッド脇に座り込むと、三園はそのまま画面に釘付けになった。
好きな歌手が出ているのかと、千田も画面に視線を投げる。
そこには華やかな衣装を着たアイドルグループや、化粧を落とすと誰なのか分からなくなりそうなロックバンドグループ、女優あがりの歌手…何人もの有名人が映し出されていた。
「三園が好きなのはどれ?」
「これ、次に歌うやつら。」
ワクワクとした表情で指差す先には、ほぼ全身黒い衣装に包まれた二人組。
名前だけなら千田も聞いたことがあるロックバンドだった。
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