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「んん…!?」 チュッ…と触れた柔らかい熱。 鎖骨の間、ペンダントトップを啄むように千田の唇がキスを落とす。 咄嗟にその頭を押し退けようとするが、千田の方が動きが早かった。 手首を捕みグッと力を込められる。 体重をかけて押されればバランスがとれていない身体はいとも容易く押し倒された。 「てめ、離せよ…」 床に敷かれたラグに背中を預け、真上に迫る千田を睨み付ける。 その視線を涼しげに受け止め、千田はゆっくりと口を開いた。 「三園さ、何か勘違いしてない?」 「あ゛?」 「もしかして、僕と友達にでもなろうとか考えてるでしょ。」 「……………」 一瞬大きく瞳を開き三園は口を結んだ。 それは千田の言葉を肯定しているもので、その様子に「やっぱり」とため息を吐かれた。 「悪いけど、僕は三園と仲良しごっこがしたい訳じゃないから。」 千田にハッキリと告げられ三園は舌打ちしたくなった。 分かってる。 自分だって別にコイツとオトモダチになりたい訳じゃない。 けど、じゃあ、どうすれば良いんだ。 こんな閉鎖された空間で、鎖に繋がれて。 特別何か話しかけてくるわけでもない相手と閉じ込められて。 「わっかんねぇ…」 「ん?」 ボソッと呟かれた言葉に千田が小さく問う。 封じられた両手を押し戻そうと力を込めるが、上から押さえ付けられていては分が悪い。 諦めるように力を抜き、三園はもう一度同じことを呟いた。 「わっかんねぇよ、お前の考えてること。」 「そう?」 余裕そうに答える千田の声。 どこか楽しんでいるようにも見えるその表情に、三園の押さえていた苛つきが再燃した。

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