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ガッ!!! 拳に伝わる衝撃と後ろに倒れる千田の体を認識し、三園は勢いのままその場に立ち上がった。 「死ね!クソがっ!!!!」 吐き捨てると同時に蹴りを入れようとして、その身体がピタリと止まった。 「三園、強いなぁ…」 「………………」 千田はクスクスと笑っていた。 愉しそうに、口の端から血を流したまま。 「……信じらんねぇ。お前、頭おかしいんじゃねぇの?」 「んー、今のでおかしくなったかも?」 「んだよ、それ。はっ…」 殴られた頭を撫でながら笑い続ける千田に、怒りを通り越して逆に笑いが込み上げてくる。 訳が分からない。 少しでも理解しようと試みた今日一日は、全くの徒労だったらしい。 ハァァ…と大きなため息を溢し頭をワシワシと掻いていれば、千田が動く気配がした。 「ね、三園」 「なんだよ、わっ!!」 ジャラッと鎖が音を響かせ、同時に手首が強く引っ張られた。 転びそうになった身体を支えようと咄嗟に片膝をつきテーブルを掴めば、クイッと顎を持ち上げられた。 チュッ… 「……………」 「好きだよ」 再び、今度は優しく触れた唇が甘い言葉を紡ぐ。 顎を持ち上げていた手がするりと頬を撫で離れた。 「だから、憎んでも良いから僕を君に刻んで欲しい…」 そう言う千田の顔は、さっきと同じ綺麗な微笑みをたたえていたー。

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