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ピンポン… その音に三園の体がピクッと動いた。 テレビの音ではない。 確かに室内で鳴ったその音。 ピンポン… 繰り返されるチャイムに思わず千田を見た。 この部屋に閉じ込められて初めて鳴ったチャイム。 「おい」 「…………」 ピンポン… 「おい、出ろよ。」 「…………」 動く気配のない千田に舌打ちし、三園は立ち上がった。 別に期待している訳じゃない。 誰かに助けてもらおうとか、もしかしたら知り合いかもとか、そんな風に思っている訳じゃないけれど。 外の世界に触れたい、と思った。 何でも良いから違う空気と触れ合いたい。 「……んだよ、離せよ。」 「出なくて良い」 ジャラ…と鎖が鳴る。 引っ張られそれ以上踏み出せないでいると、またチャイムが鳴った。 玄関を顎で示し千田を見下ろす。 「お前に用があるから鳴ってんだろうが。出ろよ。」 「必要ない」 「いい加減に」 『尚宏』 頑なに拒む千田に苛立ち大きな声を出そうとしたその時。 外から女性の声がした。

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