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6-2
「悪酔いするよ、そんな飲み方。」
「このくらいで酔うかよ。足んねぇ、次。」
ゴンッとテーブルに置かれた空のコップ。
それに二杯目を注ぎながら千田は口を開いた。
「潰れたら僕の好きにさせてもらうから別に良いけど。」
「はっ、ほざいてろ。わりぃが酔い潰れたことなんざ一度もねぇ。」
二杯目を口に運びながら不敵に笑うその表情が、千田の欲を刺激する。
綺麗に浮き出た鎖骨、薄く筋肉のついた胸と割れた腹筋。
無駄なものが一切ない三園の体をまじまじと見つめてくる、その無遠慮な視線に居心地の悪さを感じる。
「…減る、見んな。」
「キスは減らないのに?」
「うっせぇ、黙って飲んでろ。」
減らず口ってのはコイツのことだ、そう考えながら三園はツマミに手を伸ばした。
同じように千田の長い指がチーズを摘まむ。
屁理屈や自分の想いは口にするくせに、肝心なことは何一つ話さない千田。
聞きたいことは山ほどあるというのに、それを問い詰めたところで簡単に答えはしないのだろう。
それでも気になることは確認しないとスッキリとしないのも事実だ。
「………なぁ、千田」
「なに?」
自分も二杯目のハイボールを作りながら千田が視線を寄越す。
穏やかそうに見えるが、その瞳の奥は僅かに熱を帯びていて、三園への欲望を隠しているのが見てとれた。
だったらその欲望をエサに使ってやる。
「勝負しねぇ?」
「勝負?なんの?」
「これ。酔い潰れたら…ってやつ。」
コップを掲げながら意味深に告げた言葉に、千田の瞳が愉しげに歪んだ。
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