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「え…!?」
強い力で腕を捕まれる。
急なことに驚き振り払おうとしたが、千田の方が動きは素早かった。
ヂャラッ…!と音がしたのと視界が回ったのはほぼ同時。
気付けば腕と肩を捕まれたまま、上から押さえ込まれていた。
「何しやがる、どけっ!!」
「ツッ!」
咄嗟に空いている方の腕を振り上げれば、ガッ!という音と共に拳に衝撃が響く。
それでも肩と腕を掴む力は緩まず、寧ろ体重をかけてより強く床に押さえつけられてしまった。
「あのね、ダチなんてそんな温い関係望んでないって言ったよね。それじゃ嫌だ。もっと…もっと強く残さなきゃ。」
そう言う千田の頬は赤く、唇からは血が滲み出ている。
もう一度振り上げようとした腕までいつの間にか押さえ込まれてしまい、酔い潰れかけていたとは思えない力と素早さに三園の表情が険しくなった。
酒が入っていたことと、珍しく千田とちゃんと会話できていたことで油断した。
完全に動きを封じられ、嫌な予感に三園は内心で焦っていた。
「知ってる?例え些細なことでも、強烈な体験によって人はそれを長く記憶することができるんだよ。」
「何言って、」
「ましてや、拉致監禁なんて忘れる方が無理だ。そこに強姦まで加わったらどうなるんだろうね?」
普段は無口な千田が流暢に話す。
うっすらと微笑むその表情に、三園の中で警鐘が鳴り響いた。
「ただの仲良しごっこの友達なんか、数年もすれば君の中から消え失せる。けど…」
「てめ、離せ…!!」
千田の腕を振り払おうとするが、握りしめられた手首に力が込められ痛みが走る。
「今ここで僕と過ごしている時間は、三園の記憶に一生残る。」
「ん、ふっ…!」
押しどけるよりも先に、唇に熱いものが重なった。
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