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第2話

***** 次の日の仕事終わり、大地が帰ってこないことを今の今まですっかり忘れていた俺は、たまには夜、外に出てみようかと思い立ち、真っ直ぐ帰宅せずに駅前に行ってみることにした。 こうやって一人で出歩くのは、かなり久し振りだ。賑やかな照明をキョロキョロと見ながら、夕飯は何にしようかと考えていると、突然誰かに肩を叩かれた。 「こんばんは~」 「こ、こんばんは・・」 お前誰だよ、と思いながら、わざとらしくニコニコと笑う見知らぬ男に一応言葉を返した。 「一人?これから予定とかある?」 客引きかなんかなのか。 足を止めるでもない俺の横をついてくる男はベラベラと喋り続けてる。 明日も休みだから時間を気にすることなく、一人でゆっくり過ごしたかったのに、変な奴に引っかかってしまった。 「予定あるから」 「えー、なになに?待ち合わせ?デート?」 「い、いや・・」 「ならいいじゃん!俺とデートしよ!」 「はあ?」 唐突に訳のわからないことを言い放つこの男に、つい素が出てしまい眉間に皺が寄ってしまう。 「見ての通り、俺男だけど」 「そんなの知ってるよ!知っててナンパしてんだけど」 「なに、ゲイなの?」 「そう!アンタ俺のちょータイプ!」 初対面にアンタ呼ばわりされたことにびっくりだ。この歳になって初めて男にナンパされたことにもびっくりだけど。 とにかく、今は騒がしいのは勘弁だった。 「悪いけど俺恋人いるし、そういうの興味ないし無理だから」 「ふーん、それが?」 「いや、そうじゃなくて」 「いいじゃんいいじゃん!取り合えず、メシいこう!メシ!」 こんなに言葉が通じない人間に会ったのは初めてだ。 俺の言葉なんて関係ないように、男は俺の手を引いて近くの居酒屋に入っていった。

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