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第53話

 光を抱きしめた清正の両手が、背中を滑り落ちて尻の肉を掴んだ。左右に割り開くようにして小さい尻を何度も強く揉む。 「あ、清正……?」 「ああ、もう無理。挿れたい……」   深く口腔が犯される。  突然、清正は光の足を高く持ち上げ、ひとまとめにした。 「な……、え、何?」  一瞬、光は我に返った。覆いかぶさる清正を見上げる。 「初めてがリビングのソファじゃ嫌だろ。だから、今日はこれで我慢する」 「な、え……? あ、あ、あぁっ!」  閉じた両足の、肉のない太腿の隙間に清正が自身の熱杭を差し込んだ。その熱が足の間を擦る。 「な、何して……」 「黙って。あぁ……」  清正が腰を前後する。呼吸とともに動きが激しくなり、腿の内側を熱が擦り上げる。 「あ……」  熱い先端で袋を突かれ、中に収まった陰核が押されると、触れられてもいない中心が蜜を零し始めた。 「や、やだ……、そんなとこ……、あっ、あ……ん」  清正は一心不乱に腰を使い続ける。荒い息を吐いて光の上で汗を光らせている。  混乱と羞恥で頭がいっぱいになり、何かを悩んでいたことさえ忘れて、光は叫ぶように声を上げていた。 「あ、あ……、やだ……っ! あ、清正……。あああっ!」  経験したことのない体勢で身体ごと揺さぶられ、座面から落ちそうになってソファの背もたれを必死に掴んだ。硬い屹立が腿の間を行き来し、その速度を徐々に上げてゆく。 「光……っ」 「あ、清正……っ」 「ひか、る……っ」  光の足の間で熱いものが弾ける。  何をされたのかよくわからないまま、光はただ、「いやだ」と言って泣いていた。  達していない光の中心を清正の指が包み、時間をかけて丁寧に刺激する。「泣くな」と甘く囁き、「悪かった」と笑いながら、舌で優しく涙を舐める。 「うう……」 「好きだよ。可愛い」 「う、嘘だ……」 「なんで」  可笑しそうに笑った清正は、忘れさせてやると言った通り、光が何も考えられなくなるくらい甘い愛撫を繰り返した。身体中を清正の指と舌が滑ってゆく。抱き起こされ、膝に乗せられて、背中から胸と中心を刺激される。 「あ、あ、もう……」 「もう、どうしたい? 手でイかせて欲しい?」  ヤダ、と吐息を吐くと、また涙が溢れる。耳を噛まれてクスンと鼻が鳴る。  指で丸い円を作った清正の右手が光の膨らみを上下に擦り、左手の指が胸の飾りを摘まんで弾く。光は何度も嫌だと首を振った。泣きながら、高みに昇りつめる。  可愛いなと繰り返して清正が背中から抱きしめる。  優しいキス。耳元で「好きだ」と囁く。  そこに嘘の気配は感じられなかった。  だから、あれはきっと、何かの間違いだったのだと光は思うことにした。聞き間違いだ。汀の言葉をよく聞き取れなかっただけだ。  それでも、心の隅に潜んだ不安は、完全に消えてはくれなかった。  ヨイオモロシュ……。ほかに意味を結ばない汀の言葉は、いつまでも耳に残った。別の意味を探して、見つけられないまま心に深く沈み込んでいった。

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