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第16話

「……ヒック、……ヒック」 やっと涙が止まった頃、今度は人前で子どものように大泣きした気恥ずかしさがボクを襲う。 こんなに泣いたのはいつぶりだろう。 顔を上げるタイミングが分からずモジモジしていると、ボクのお腹から何とも情けないキュルキュルという音が部屋中に鳴り響いた。 「フフッ、随分と可愛らしい腹の虫の鳴き声だね」 場を和ませる為か、ワザとオレンジ色の髪の男の人が吹き出す。釣られて皆も一斉にクスクスと笑い出した。 ボクは恥ずかしさのあまり俯く。たぶん顔は真っ赤だ。 一頻り皆が笑った後、またオレンジ色の髪の男の人が「立ち話も何だから」と隣りの部屋へ移る事を提案する。 それに従い移動した先の部屋はリビングのような造りで、大きなガラステーブルを囲むように3人掛けのソファが2つ、1人掛けのソファが上座に1つ設置されていた。 白銀の髪の彼はボクを抱いたまま当然のように1人掛けのソファに座る。そのため必然的にボクは彼の膝の上に有無を言わさず座らされた。 続いて左側の3人掛けソファにオレンジ色の髪の男の人と茶髪の男の人が座り、向かいに赤い髪の男の人と金髪の男の子が座る。 「まずは自己紹介からしよっか。俺は()() (かず)(ゆき)18才、高校3年生だ。よろしくね?」 左側のソファの手前に座ったオレンジ色の髪の男の人、改め、和之さんがフワリと柔らかい笑みを浮かべてくれた。 それからあっと何か思い出したように声を小さく洩らすと、テーブルの上に置いてあったお皿をボクの前に出してくれる。 透明なラップに包まれたそれには、大きなおにぎりが2個ほど並んでいた。 「お腹空いてるだろう? とりあえずこれでもツマんでてよ。柔らかめに炊いてあるから胃にも優しいと思うし」 「ぅ?……んと、えと、あの……ありがとう」 和之さんはラップを取ると、そのおにぎりをひとつボクに持たせてくれる。温かいそれに知らず頬が綻んだ。 でも普段はあまりご飯を食べさせて貰えないから、その1個だけでも食べ切れるか自信がない。 そうしたらボクの顔色を読んだ和之さんが、横から顔を覗き込んできて「残してもいいから、ね?」と優しく言ってくれた。

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