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第25話

「“チィちゃん”か……うん、すごくイイね!」 「あぁ、確かにカワイイな……」 「うんうんっ、この子にピッタリだよ! めちゃくちゃかわいいっ!!」 和之さんがボクの愛称を噛み締めるように口にし、朔夜さんは珍しく顔を綻ばせて彼の言葉に同意する。 それを聞いた虎汰も笑顔でカワイイって連呼してくれた。 「よしっ! じゃあ、今日から俺たちもこいつをチィって呼ぼうぜっ、よろしくなチィ!!」 満面の笑みで流星くんも改めてボクに挨拶してくれる。もう嬉しくて胸が張り裂けそうだった。 隣りを見ると煌騎は優しく微笑んでいて、頭を撫でながら「良かったな」と小声で囁きまるで自分のことのように喜んでくれた。 ―――この幸せがずっと続けばいいのに……。 そう願わずにはいられないくらい、今のボクは幸福に満ち溢れていた。 「さて……と、名残惜しいけど煌騎そろそろ」 「……あぁ、そうだな」 暫く皆で和んだ後、和之さんが煌騎に目配せして彼もそれに軽く頷く。そしてボクに向き直るとまた頭を撫で、優しく語り掛けるように言った。 「チィ、俺たちは少し出掛けてくる。その間お前は流星たちと買い物に行ってくるといい」 「……お買い…物?」 「あぁ、生憎ここにはお前に合うサイズの服がないからな。それに日用品なんかも買い揃える必要がある。ついでに晩飯も食わせて貰ってこい」 そう言って煌騎はズボンのお尻ポケットを探ると、何かを取り出してそれをボクに手渡してくる。 見ると渡されたのは立派な横長のお財布で、17の未成年が持つには随分と厚みのある物だった。 「足りなければ中に入ってるカードを使え。使い方は流星か虎汰が知ってる」 任せたぞと煌騎が前に座る二人に目をやると、流星くんたちは勢いよく頷いた。 「――ふえっ!?……まっ、待って! ボクこんな事までして貰う理由ない! だってまだ知り合ったばっかりなのにっ」 あまりに突然のことで物凄く慌てるボクに、けれど彼は差し出した財布を引っ込める事はしなかった。 その財布を手にしっかり握らせるとゆっくり首を横に振る。

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