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第39話〜白鷲MONSTERS〜
ボクが連れて来られたのは小さな喫茶店だった。都内からは少し離れ、倉庫に程近い場所に佇む洋風なお店。聞けばここは虎汰と虎子ちゃんのご両親が経営してる店なのだそうだ。
看板には『white eagle』とあった。
聞き覚えのある名前に首を傾げると、虎汰が苦笑混じりに教えてくれる。
「俺たちの親、元“白鷲”の創立メンバーで幹部だったんだ。だから『white eagle』、すっげー安直だろ? ――って、痛ッ!?」
突如虎汰が短く悲鳴を上げ、頭を両手で抱え込むように押さえた。びっくりして振り返ると、そこには虎汰と虎子ちゃんに外見がそっくりな人が立っている。
でも可愛らしいけれど芯が通っていて、とてもしっかりしてそうな少し年配の女性……。
そしてその横には童顔だけどおそらく女の人と同年代だろう、凛々しくも優しそうな顔つきをした男の人の姿もあった。
―――もしかして二人のママさんとパパさんなのかな?
そう思い至ったボクは怖かったけどペコリと頭を下げ、小刻みに震えながら「初めまして、チィです」と挨拶をする。
すると虎汰たちのママさんとパパさんはニコニコと笑って、まるで幼い子供にでもするように交互にボクの頭を撫でてくれた。
「ちゃんと挨拶できて偉いねぇ、アナタうちの子たちの友だち? 随分と細っこいのね、ちゃんと毎日ご飯食べてる?」
「確かに細いな。どした、いつもと毛色の違う子を連れてるじゃないか。――ハッ、まさかお前ら無理やり連れてきたんじゃっ!?」
先程からあまりにボクがビクビクと怯えているのを見て、パパさんは強引に連れて来たのではと勘違いし、虎汰と流星くんの胸ぐらを引っ掴んで揺さぶった。
それを見たボクは慌てて止めに入る。
「―――ちっ、ちちち違いますっ!? ここへはちゃんと自分の意思で来ました! だから虎汰たちを叱らないであげてっ」
「チッ……なんだ、違うのか」
「当たり前だろ!! ったく離せよクソ親父ッ!!」
虎汰はパパさんの腕を振り払い、力いっぱい握り締められてシワシワになったTシャツを懸命に伸ばす。
でもそれは元には戻らずヨレヨレのままだった。
「あ゙~、コレ俺のお気に入りだったのに~」
目にうっすらと涙を浮かべる彼に申し訳ない気持ちが募り、ボクの所為でごめんねと謝ると虎汰はブンブン首を横に振った。
そしてこれは早とちりしたパパさんの所為だから、ボクが気にする必要はないと言ってくれる。
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