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第40話
その様子を傍らで見ていた虎子ちゃんは、クスクス笑って「普段の行いが悪いからよ」と軽く戒めた。
虎汰はバツが悪そうに苦笑いを浮かべ、勝手知ったる店内の一番奥にある広い席に皆を誘導して腰を落ち着ける。
「あ、そう言えばさっき和之くんから連絡あったわよ! 用事が終わったから後で朔夜くんと顔出すって♪ 」
お水の入ったコップを人数分テーブルの上に置きながら、ママさんが思い出したように言う。
そしてコップを置き終わると後で注文を聞きに来るからと伝え、先に厨房へ引き上げたパパさんの後を追って姿を消した。
「ふぅ……とりあえず、チィには今後の為にもいろいろと貴方たちのこと教えて置かないとね。さっきみたいなこともあるし!」
一息ついたところで虎子ちゃんがそう切り出す。それに虎汰も流星くんも同意してコクンと頷いた。
「悪かったなチィ、何の説明もなしに外へ連れ出したばっかりに怖い思いをさせちまった」
「時間なかったのもあるけど軽率だった。ホンットごめん!!」
向かいの席に座った流星くんと虎汰が潔く頭を下げてくれる。けれどボクは静かに首を横に振った。
確かにあの時はワケも分からずびっくりしたけど、皆が傍にいてくれたからかそんなに怖い思いはしていない。
それに謝らなければならないのは寧ろボクの方だ。虎子ちゃんがレジに向かう際、決して自分からは離れないようにと警告されていたのに、目新しい物に惹かれついフラフラしてしまった。
そのことを詫びると、虎子ちゃんがそれは違うと首を振る。
「チィは何も悪くないっ、あれは完璧に私の責任だわ! チィから目を離しちゃいけなかったのに……本ッ当にごめん!!」
「ううん、いくら事情を知らなかったとしても虎子ちゃんの言い付けを守らなかったのはボクだから……」
「まぁ誰の責任とか云々は置いといてさ、先に説明しちまおーぜ? じゃないと話が進まない」
ボクたちが互いに謝り合っていると、流星くんが呆れたように口を挟んだ。
もっともな意見に虎子ちゃんもボクも顔を見合せ、それもそうだと苦笑し合って頷いた。
するとまずは虎汰から口を開く。
「今日、チィに声を掛けてきた奴らはたぶん、俺らの熱狂的なファンの一部だと思う」
「……えと、ふぁん? 一部?」
「そ、この辺じゃ“白鷲”はけっこー有名でさ。その名を知らない奴はいないに等しい」
そう誇らしげに流星くんが言う。
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