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第41話
ボクが驚いて目を見開いていると、虎子ちゃんが後を引き継いで大まかな説明をしてくれる。
彼女の説明によると“白鷲”の歴史は意外と古く、虎汰たちのご両親が今の虎子ちゃんたちくらいの歳に創られたものだと教えてくれた。
創立当初は5~6人程度だったメンバーも日を逐う毎に増えていき2ヶ月後には50人、半年後には200人を越える大所帯のチームにまで急成長したという。
それが成し遂げられたのも一重にトップ二人の人望と統率力の賜物だったらしい。チーム名の由来はその初代総長と副総長の名字から一文字ずつ取ったのだそうだ。
今では伝説となった初代総長の名は白銀 将騎 、副総長の名は鷲塚 要 という。
その名を聞いてあれっと首を傾げる。
「そっ、初代総長は煌騎くんのお父さんなの♪」
頭に浮かんだ疑問に答えた虎子ちゃんは、まるでいたずらが成功したかのようにクスリと笑った。
そして耳元でこっそり「やっぱり好きな人の名前にはすぐ反応しちゃうよね」と囁く。その言葉に瞬時に顔を真っ赤に染め、ボクは深く俯いた。
まだ己の気持ちと向き合えていないのにからかわれて、どうしたら良いのか分からない。
恨みがましく横に座る虎子ちゃんを見つめるけど、彼女は悪ぶれることなくクスクスと笑い続ける。
何のことだか分からない流星くんたちはそれを見て首を傾げたが、それでも話の腰を折らない為か二人共その場は追及してこなかった。
「でね? その伝説を創った男の息子だからって煌騎くんのことをやたら崇める連中がいるの」
彼女が言うには煌騎を崇高化する人たちは初代同様、彼に伝説を求めているし、常に気高くあって欲しいと願っているらしい。
勝手に自称“白鷲親衛隊”なるものを立ち上げて、煌騎に近づこうとする不釣り合いな者を片っ端から排除してるのだそうだ。
「まぁ要するにこれだけチームがデカくなりゃ敵視する連中もいるけど、煌騎を慕う奴の方が実は圧倒的に男女問わず多いってワケ!」
「呑気なこと言わないでよ虎汰! その中にはあんたたちを慕ってる連中もいるんだからね!!」
まるで人事のように言う虎汰に虎子ちゃんはキレ気味に言う。現に今日ボクに声を掛けてきたのも、彼と流星くんの追っかけらしかった。
その所為でボクが危険な目に合ったと彼女はプリプリと怒る。
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