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第43話
なんだか哀しくなって俯いていると、追い討ちをかけるように虎子ちゃんが言葉を続けた。
「いずれ分かる事だから言うけど、虎汰たちが何て呼ばれてるか知ってる? 白鷲の幹部は血も涙もない“モンスター”だって呼ばれてるの」
「―――モッ、モンスターッ!?」
それはボクにとってあまりにショックの大きいものだった。慕う者が大勢いるというのに、その誰もが彼らをモンスター と呼ぶなんて……。
遂には我慢できなくなって両目からポロポロと涙が溢れ出した。慌てたのは向かいに座るいまは普通の年相応に見える男の子二人。
虎汰はおろおろと慌てふためき、流星くんは困ったように苦笑いを浮かべ、頭をガシガシと掻き毟ってそっぽを向く。
泣いたりしたら彼らを困らせるだけだと分かっているのに、ボクの涙は止まることを知らない。
すると斜め前に座る虎汰がなんだか苦しそうに顔を歪め、こちらを覗き込んできた。
「チィ、哀しませてごめんな? 別に騙してたワケじゃないんだけど俺たち、人前じゃ笑わないようにしてるんだ」
「“白鷲”はあまりにデカく成り過ぎた。今じゃ傘下も加えると軽く500人は越えるチームだ」
流星くんも苦しそうにこちらにまた顔を向けてボクを見る。それほどまでに膨らんだチームを率いるには、ある程度のカリスマ性が必要だった。
そしてそれはトップだけでなく、幹部の彼らにも求められるのだという。
「……虎汰たちはその白鷲の幹部なの?」
先ほどから気にはなっていたのだが、今さら聞くに聞けなくて悶々としていたのだ。すると虎子ちゃんが凄い形相で怒り出す。もちろんボクにではなく彼らに……。
「まさかあんたたちっ、それすらもチィに教えてなかったの!? ホンット馬鹿じゃないッ!?」
「ア、アレッ!? 俺ら教えてなかったっけ?」
「…………う、うん」
自己紹介をして貰った時、煌騎が白鷲の総長だということは聞いたが、その他は何も聞いていない。物凄く慌て出した流星くんたちに、ボクはコクンと頷いた。
「お、おかしいなぁ。教えたつもりだったんだけど、忘れてたみたい……だな、アハハ」
「まったくっ、白鷲の幹部が聞いて呆れるっての! チィにもしものことがあったらどうしてたのよっ!?」
「………はい、虎子さまの仰る通りです」
ギャンギャン怒鳴る彼女に流星くんは言い訳を試み、虎汰に至っては既に平伏あるのみだった。
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