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第44話

それからママさんが料理を運んできてくれるまで、彼ら二人は虎子ちゃんに延々とお説教をされ続けた。 「虎子、もうその辺で許してやんなよ」 呆れたようにママさんが助け舟を出し、その言葉で漸く虎汰と流星くんの顔がパアッと明るくなる。 それを虎子ちゃんは苦々しい思いで睨むも、テーブルいっぱいに料理が並べられては次の言葉も出てこない。遂には深い深い溜め息を吐いて諦めた。 「フンッ、何がカリスマよっ! ただ単に自分たちが女嫌いなだけじゃんっ」 まだ言い足りないのかボソリと呟いたがそれ以上は何も言わず、ボクに向かって“ここは虎汰たちの奢りだからいっぱい食べようね♪ ”と笑った。 向かいの虎汰たちもそれで許して貰えるならと苦笑いを浮かべる。 「さぁチィ、食べましょ♪ 」 「う、うんっ」 目の前に並べられた美味しそうな料理に、ボクの瞳はキラキラと輝く。ちゃんとした食事を摂るのはいつぶりだろう? でもボクが呆然としたまま料理を眺めるばかりでなのを見て、皆は不思議そうに首を傾げた。 「チィ、食べないのか? もしかして腹空いてない?」 気を遣って虎汰がそう尋ねてくれるけど、ボクはプルプルと首を横に振る。本当は初めて見る料理が殆どで、食べ方がまったく分からないなんて恥ずかしくて言えなかった。 だからボクはちょっとだけ見栄を張って小さな嘘を吐く。 「えと……食べたいけどみんな美味しそうで、どれから食べようか迷っちゃって……」 「ハハッ、なんだよソレ。チィの好きなもんから順に食べればいいじゃん♪ 」 「だったらさ、俺の唐揚げ1個あげる! ハイ、アーン♪ 」 流星くんはニコニコと笑い、虎汰はボクのお口よりも遥かに大きい唐揚げを食べさせようと、お箸に摘まんで口元まで持ってくる。 それをどうしたらいいのかも分からず、ボクは咄嗟に目の前の唐揚げにカプッ! と噛みついた。 「か、かわいい……」 「ズリィぞ虎汰! ほらチィ、こっちのが美味ぇぞっ」 対抗心に燃えた流星くんが自分の皿から熱々のドリアというのをスプーンで掬い、少し冷まさせてからボクに食べさせようと差し出す。

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