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第59話

席はボクの為に今朝ひとつ追加してくれたらしい。教えて貰ったそこは煌騎の隣りで、和之さんの隣りでもあった。 現在白鷲のツートップが両隣と聞いてボクは焦ったが、煌騎の意向なので変更は不可とのこと……。 その煌騎も先に席に着いて“隣りにおいで”と手招きしているので、恐縮しつつもそこへ腰を落ち着けた。 そしてほどなくして和之さんが朝食の乗ったプレートを運んできて、自らも席に着く。 「チィの口に合えばいいんだけど……」 謙遜しながらもボクの前に出された食事は、朝から作るには手間の掛かるものばかりだった。 ふわふわトロトロのオムレツとカリカリに焼いたベーコン、それに食べ易いよう斜めにカットされた熱々のフレンチトーストは寝起きでまだ頭が働かないというのに食欲をそそられ、お腹がぐぅぅぅっと盛大に鳴った。 その横にはカップに入った琥珀色のスープと、カラフルな野菜が乗ったサラダも添えられてあって、どれから手をつけていいのかわからない。 「アハハ、チィがまたどれから食べるか迷ってるぅ」 揶揄するように虎汰が言うと、和之さんが目を丸くしてボクを見る。でも直ぐに微笑んで頭を撫でた。 「チィは食べ方を知らないだけだよ。よく噛んで、バランス良く食べてごらん?」 そう言うと彼はまるでお手本とでもいうように食べ始め、ボクも見様見真似でフォークとナイフを握り締めてみる。 時折こちらを窺っては握り方を直してくれたり、切り難いものを代わりに切ってくれてボクの顔を見てはニッコリ笑い、上手だよと頷いてくれた。 「へぇ、さすがは和之。教えるのが上手いな」 いつの間にか滞りなく食事ができるようになったボクを見て、皆は感心したように息を漏らす。 昨夜は殆どお箸も使わず、フォークや素手に近い状態で食事を摂っていたから驚いて当然だろう。 煌騎が褒めるように頭を撫でてくれてボクは嬉しくなった。食事も飛び上がるほど美味しい。 中でもふわトロのオムレツが気に入り大事にチビチビ食べていると、苦笑した和之さんが自分のからボクのプレートにソレを追加してくれた。

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