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第88話

ボクはびっくりして身体を硬直させたけど、その温もりに直ぐさま緊張が解れていった。 「…………煌騎……?」 「チィ、慣れない環境で不安もあるだろうがこれだけは覚えておいて欲しい。此処にいる連中は確かに気性は荒いが、絶対お前に危害は加えない。だからもう怯えないでくれ」 煌騎におでことおでこをそっとくっつけられて顔を覗き込まれる。目の前に輝く綺麗な2色の宝石が2つ並んでいてとてもドキドキした。 さっきまでは叩かれる事に怯えて縮こまっていたのに、それが今は嘘のように消えてなくなっていく。 俯いていると頬を両手で挟まれ、もう一度顔を上げさせられて離れたおでこをまたゴチンと合わせ、更に煌騎はボクの瞳を覗き込む。 「俺たちは自分より弱い相手には決して手を上げない。それは何故だか分かるか?」 と、そんな事を尋ねられて分からないボクはプルプルと首を横に振った。 すると煌騎はクスリと笑い、振った勢いで顔に掛かってしまったサイドの髪を手櫛で梳き、耳へと優しく掛けてくれる。 そしてまた頬に手を添えて優しく微笑んだ。 「そんな事をすればただの弱い者虐めになってしまうからだ。そんな卑怯な男に俺たちは成り下がるつもりはない」 「………う…うん……」 「だがそれはお前が弱いと言ってるんじゃない。寧ろチィは此処の誰よりも強いと俺は思っている」 「………ボクが……強い……?」 信じられない言葉にボクは目を見開いて、思わず目線が同じ位置にある煌騎を見つめた。そんなの今まで誰にも言われた事がない。 それに自分でも分かっている。いつもピーピーと泣いてばかりいるボクは弱虫だ。だけど彼はボクの目を見ながら首を横に振る。

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