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第93話

「オッ、チィがリビングにいる! なんかお前がいるの久々な気がするなぁ」 「だね! 5日も寝込んじゃうとか俺マジ、スッゲー心配したよ。チィもうホントに大丈夫なのか?」 「うんっ、も…だいじょぶっ! お熱ないよ」 いっぱい寝たからか今朝はまた早起きをしてしまい、煌騎に無理を言ってリビングへ連れてきて貰っていた。 そしたら7時丁度に流星くんと虎汰が起きてきて、ボクを見つけるなり凄く喜んでくれて頭を撫でられ揉みくちゃにされてしまう。 乱れた髪を煌騎に直して貰いながら暫く二人とお話していると、今日は珍しく遅い起床の朔夜さんがリビングに入ってきた。 「何してるの、みんな集まって……」 寝起きの朔夜さんはとにかく機嫌が悪い。 冷ややかな眼差しを虎汰と流星くんに向け、静かに佇む彼に二人は何故かしどろもどろになった。 「や、チィが5日ぶりにベッドから起き上がれるようになったから良かったなって……」 「う…うんっ、そうそう! 元気になって良かったなって話してたんだよっ、な?」 「…………ふーん、」 冷め切った瞳に見下され、虎汰と流星くんは増々テンパる。でもチラリとボクの方に向けてくれた目は優しいものだった。 口角を少し上げてニコリとしてくれる。 「あ、あのぉ……朔夜…さん……?」 顔色を窺うように見る二人に朔夜さんは威嚇するようにキッと鋭い眼光を向けるけど、やっぱりボクには温和な目線を向けられた。 この差は何故だろう……? 「チィおはよう、熱はもう下がったの?」 「朔夜さんおはよう! うん、ボク元気になったの。もぉだいじょぶだよっ」 「そう、でも病み上がりなんだから無理してコイツらの相手する必要はないからね?」 そう言って朔夜さんはまた虎汰や流星くんを睨むと、手にしたノート型PCを抱え直して食堂へ入っていった。 その途端、二人の口からは盛大な溜め息が漏れる。 「………寝起きの朔夜はマジ怖ぇ、つかさっきのアレ絶対俺たちに八つ当たりだよなぁ」 「んーあれから何の進展もないからなぁ、何度もデータ洗い直してるらしいけど何も出てこねーからイライラしてんだよ。たぶん……」 「………う?……うぅ?……」

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