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第101話

だからコクンと頷くとまた彼の首元に抱きついた。たぶん知らない間にボクは煌騎を深く傷付けたんだと思ったから……。 もう正直に話そうと口を開く。 「……ボクね、自分の足でお外の世界を見に行ってみたかったの。いつもみんなに抱っこして貰ってたから……」 ようやく自由を手に入れたボクはお外の景色が見たかった。ちゃんと自分の足で……。 それに右脚が思うように動かないボクは健吾さんに、なるべく歩く練習をしなさいと言われていた。 長い間サイズの合わない枷を嵌め込まれていた為、圧迫され血流が悪くなって神経が麻痺しているかもしれないんだって……。 しかも狭い部屋に閉じ込められてたから、ボクは全体的に筋肉量が少ない状態なんだそうだ。 このままでは確実に歩けなくなるから少しずつでも運動して、身体に筋肉をつけなさいって言われた。 でもボクがドジでよく転ぶから、皆は仕方なしに抱っこしてくれる。何処へ行くにも必ず誰かが抱っこしてくれて、凄く楽ちんなんだけど、それじゃいけないと何となく思ったのだった。 「ちゃんと自分の足で歩けるようになったら、もうみんなに迷惑掛けなくても済むでしょ?」 「…………チィ……」 煌騎はちょっと困ったように顔を歪める。 けれど内緒でお外に出ようとしたのはいけない事だったんだと分かった今は、もう後悔の念しか浮かばない。 ちゃんとその事を相談すれば良かったのだ。 「そうか、俺たちが過保護過ぎたのがいけなかったんだな。悪かったチィ」 「う……ううん、ボクもみんなに抱っこされるの好きだから、断れなかったの」 「なら、これからは状況を見て抱き上げる事にする。あいつらにもそう伝えておくから」 煌騎の優しい配慮にボクはコクンと頷くと彼の胸に顔を寄せて凭れ、それからみんなが帰ってくる夕方頃までお外の事を色々と聞いた。 ボクと同じであまりおしゃべりが上手じゃない煌騎は、その間中さっきとはまた違う困ったような顔をしてたけど質問した事には丁寧に答えてくれる。 それが嬉しくて結局もう夕飯だからと、和之さんに止められるまで続けたのだった。

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