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第102話〜初めての学校〜

「チィ、準備はできた?」 今朝は早くに虎子ちゃんが倉庫に来てくれて、慣れないネクタイや支度などを手伝って貰っていた。 今日からボクはみんなと同じ学校へ行く……。 足がだいぶ動かせるようになってきた昨夜、健吾さんが往診に来てくれて許可を出してくれたのだ。 といってもまだひとりで出歩くには不安定なレベルなので、歩く際は誰かが補助として常に付き添うのが条件。 『……アンタまさかチィの学校での付き添い、自分がするとか言い出さねーだろうなぁ?』 そう流星くんが冗談めかしに言えば、健吾さんは至極当たり前のように『そのつもりだけど? 』と言うからボクも驚いた。 けれど和之さんに真顔で『いい大人が何言ってるんですか!』ってお説教されて渋々諦めたのだった。 だから学校では同じ学年である虎汰か虎子ちゃんのどちらかが、ボクに付いててくれる事になっている。 カバンを胸に抱き締めながら、虎汰に準備できたか尋ねられたボクは勢いよくコクンと頷いた。 「うんっ、出来たよ!」 「よし、それじゃ行くかっ」 それを見て煌騎がゆっくりとソファから腰を上げ、皆を見渡して声を掛ける。その一言で和之さんたちも頷き一斉に席を立った。 今日ボクは初めて彼らの制服姿を見たのだけど、皆それぞれ同じ制服とは思えないほど個性的に着こなしていてとても素敵だ。 ネクタイは学年ごとに色分けされていて、1年生であるボクと虎子ちゃんと虎汰は黄色と白のストライプ、2年の煌騎と流星くんに朔夜さんは濃い蒼と白のストライプ、3年生の和之さんのは赤と白のストライプだった。 校則で貴金属類は身につけられないことになっているけど、元からそんなもの彼らには必要ない。彼ら自身が光り輝き、何よりも価値があるから……。 だけどその中でも煌騎は日本人離れした容姿の所為か、まるで雑誌からそのまま飛び出したモデルのようにカッコ良かった。 暫しボクは彼に見惚れる。 すると虎子ちゃんに背中を軽く押された。 「ほらチィ、煌騎くんに見惚れるちゃうのは分かるけど足は止めないで! 学校に遅刻しちゃうわよ?」 そうニヤニヤ笑いながら言ってボクに真新しい杖を持たせ、ぐいぐいと外まで連れていかれる。 杖は歩行練習する時に健吾さんが用意してくれたもので、それがあると上手く歩けるようになったのだ。 今ではボクの必需品……。

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