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第103話

倉庫の大きな鉄扉の横にある人用の出入口を潜ると、目の前には見た事もない車種の細長くて真っ白な車が横付けされていた。 "リムジン”という高級車なのだそうだ。 彼らに初めて会った時とはまた違う高級車にまさかと思い後ろを振り返るけど、皆はボクを追い越して当然のようにその車に乗り込む。 「ね…ねぇ、虎子ちゃ……もしかしてこの車……」 「ふふ、もちろん煌騎くんの車よ。高校入学のお祝いに家の人に貰ったらしいんだけど、普段はコレ目立つしあんまり使わないの。でも皆で移動するには丁度いいし、この日の為にわざわざ用意させたみたい」 横に並ぶ虎子ちゃんに恐る恐る尋ねると、彼女はクスクス笑って教えてくれた。確かお買い物に出掛けた時の車も高そうな車だったのに、まだ他にもあったなんて……。 ボクは声もなく驚いた。 「これくらいで驚いてたら身が持たないわよ、チィ」 「う?……それ、どういう意味?」 「んー、まぁ学校に行けばわかるわ! さっ、チィ車に乗って乗って♪ 」 虎子ちゃんは軽くはぐらかせるとボクの肩を叩き、半ば強引に車内へ押し込めた。 中は驚くほど広く、L字の座席は男5人に後から加わったボクたち二人が乗っても、余裕で寛げちゃうようなスペースになっている。 既に前の方へ乗車していた虎汰と流星くんが、ボクに手招きして二人の間に座るよう言われたけど、虎子ちゃんはやっぱりそれを却下した。 「残念だったわね、チィの指定席はもう決まってるの!はいっ、煌騎くん連れてきてあげたわよ♪ 」 そう言って彼女はまるで荷物のように、ボクをポイッと煌騎の隣りに放り込む。 重力に勝てずボクはそのままポテッと後ろ側の座席にダイブしてしまい、反動で少し間を置いて座っていた和之さんの膝の上に転がってしまった。 「あぅっ、和之さ……ごめ…なさっ」 「ううん、俺は大丈夫だよ。チィこそ大丈夫だった?」 「う、うん、だいじょぶ。ありがと……」 慌てて謝るけど彼はにこやかに笑って許してくれて、しかも抱き起こしてボクの心配までしてくれる。 やっぱり和之さんは優しいなと思った。

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