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第139話〜憧れのパンケーキ〜

あれから屋上でマッタリと過ごしたボクたちは、下校のチャイムと共に慌てて校舎を後にした。 本当は下校時間がくる前に帰るハズが温かい陽射しに負け、皆でお昼寝をしてしまって誰ひとり今の時間まで起きれなかったのだ。 駆け足で校舎を突っ切る間、煌騎は自分で歩けるというボクの主張を完全に無視し、ずっと片手で抱っこし続けていた。 そして昇降口に辿り着くと案の定、外には今朝と同じ光景が広がっていて大ブーイングされる。でも背の高い流星くんらが周りを囲ってくれたお陰で、ほんの少しだけど恐怖が和らいだ。 表には既に煌騎の車が横付けにされていて、後部ドアの前で初日のお買い物にも付き合ってくれた専属運転手の山河(やまがわ)さんが待機していた。 彼はいつからここで待っていたのだろう……? そんな事を考えてる間に煌騎はボクごと車内に乗車し、それから和之さんと朔夜さん、流星くんの順番で皆も車に乗り込む。 「お帰りなさいませ、煌騎さま。お送り先はいつもの場所で構いませんか?」 全員の乗車を確認すると山河さんはドアを閉める際にそう確認し、煌騎が静かに頷くとそのまま彼は運転席に乗り込んだ。 初老の山河さんは物腰が柔らかで、倉庫で何度か会う度に優しく微笑んで目尻の小皺を深くし、ボクに安心感を与えてくれる。 暫くすると車は静かに動き出した。 たくさんいたギャラリーも進行の妨げにならないように退き、瞬く間に一本の通り道が出来上がる。 そこを真っ白なリムジンが滑るように走り抜けた。 「あ、煌騎さんにチィさん! それに皆さんもおかえンなさいッ!!」 倉庫に着くと白鷲の若い子たちから代わる代わる声を掛けられた。強面の顔と勢いに圧されて萎縮気味にペコペコと頭を下げる。 この時間帯にいる子たちは殆んど中等部の子たちで、ボクより年下だというから驚きだ。 「チィさん、おかえりなさいッス♪ 」 「……あう、ただい…ま……です……」 通りすがりに声を掛けられる度に小さな声でしどろもどろ挨拶を返すと、皆は嬉しそうにニカッと笑って持ち場へ戻っていく。 ここを守る為に形成された彼らは、腕に自信のある強者ばかりが集められた選りすぐりの戦闘要員なんだそうだ。 学校には交代で行くようになっているらしく、倉庫を空ける事はまずないとのこと。流星くんがそう言ってた。

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