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第141話

その時ボクにいいアイデアが浮かぶ。 幸せな気持ちをみんなと分かち合いたい一心で瞳をキラキラ輝かせ、煌騎にコテンと首を傾げてお伺いを立てた。 「あのね……んと、そしたらみんなでパンケーキ…食べよ? 大勢で食べるともっともっと美味しくなると思うの」 「あー……悪いチィ、俺ら甘いモンはちょっと……」 最後尾にいた流星くんは口籠もりながら、申し訳なさそうに小さな声でそう言う。けど言っている意味がわからなくてボクは更に首を傾げた。 周りを見れば和之さんは作る側なのに苦笑を浮かべ、気まずそうに目を逸らして頭を掻いている。これはどういうことなのだろう? すると彼の隣にいた朔夜さんが呆れたように溜息を吐き、静かに口を開いた。 「いいよ、パンケーキなら俺が付き合う。糖分は小まめに採らないと頭の回転が鈍るからな」 「あ、そうか甘党の朔夜がいたか!いや良かった、俺マジ甘いモン苦手でさッ……あっ」 そう洩らして一瞬マズイという顔をした流星くんは、咄嗟に口を掌で覆ったがボクはしっかりとそれを聞いてしまう。 世界は広いのだと今日知ったばかりだけど、この世に甘いものが苦手な人もいたなんてびっくりだった。驚きにパチパチと瞬きを繰り返していると、煌騎がそっとボクの頭を撫でてくれた。 「男は成長すると大抵は甘いものが苦手になる。だから気にするな」 「だ、だよな! 俺もガキの頃は甘いモンよく喰ってたけど、身体がデカくなるにつれて受け付けなくなったしっ」 ボクにフォローしてくれる煌騎に対し、妙に焦りながら流星くんがうんうんと頷く。 だけどそれに異を唱えたそうにする朔夜さんに目が止まり、またもや疑問が生まれて思った事を口にする。 「うー? じゃあ甘いものが大好きなボクと朔夜さんはおんっ―――…」 「―――うぅあぁあっ、チッ…チィ!? きょっ、今日は一緒にパンケーキ作ろっか! 二人で作業すると楽しいよ!」 「……………う?………」 ボクが『朔夜さんは女の子なの?』と続けようとしたら和之さんがとっても慌て出した。全力でボクのお口を手のひらで塞ぎ、言葉を遮られてしまう。でもその提案に直ぐさま心奪われた。 「ボクお手伝いしていいのッ!? うん、するするぅ」 そう答えると彼は心底ホッとしたような顔をする。その隣で朔夜さんは頬を引き攣らせていたけど、ボクの頭の中はもうパンケーキの事でいっぱいだった。

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