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第152話

歴代の総長が集結しているからか、またはその諸々の状況に応じてなのかは不明だが、普段よりも溜まり場は厳重に警備されていたと記憶している。 それにも拘らず何処からか敵対する組のヒットマンが複数侵入し、初代No.2の鷲塚という男は2発目の銃弾で呆気なく命を落とした。 『あの時、倉庫内にはお前を含めガキが15人くらい居ただろ?だが無傷で助かったのは双子だけだ』 「それはあんたが命懸けで守ったからじゃ……」 彼の言わんとしている事がわからなくて、俺は首を傾げる。しかし奨は電話口で“違う”と短く否定の言葉を告げた。 確かにあの場にいた子どもの殆どが無傷では帰らなかったし、半数以上が銃乱射によって命を落としたと聞いている。だがそれが俺の父親の失踪とどう関わりが……? 俺はますます訳がわからなくなった。 『当時の俺はまだ15だったんだぞっ、そんなガキに何ができる!? 虎汰と虎子は双子だったから見逃して貰えたに過ぎない。よく思い出してみろ! あの場にいたのは大半が女の子だったじゃないか!!』 「…………ぁ……」 奨の言葉で漸く思い至る。鷲塚の跡目は既に息絶えていたのに、奴らは逃げ惑う子どもたちにも容赦なく追っ手を差し向けた。 そしてその時に俺のよく知る“あいつ”も誘拐され、戻ってきた時にはまるで別人のように……なって…いた。 「……ま…さか、奴らの目的は初めからッーーー…」 『あくまで憶測の域を出ないがな。でもあの時、お前の親父さんは跡目に“娘”を託されているのを俺はこの目でしっかりと見たんだ』 それで失踪した理由もつくと奨は言う。 俺はただただ愕然とする。恐らく襲撃した奴らは“あいつ”の顔を知らなかったのだろう。 それも間抜けな話だが実際、鷲塚の親父ですらその存在は事件が起こってから初めて知ったのだ。だから奴らは手当たり次第に子どもたちを襲った。 幸い虎汰と虎子は双子で顔が瓜二つだった為に兄妹だと直ぐに見分けがつき、深追いされる事なく生き延びたということか……。

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